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「〈わたし〉はどこにあるのか」前編

趣味・日記
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~インタープリター~

こんにちは🍀
就労継続支援B型「かなうラボ」利用者のカンカン帽です👒

題名の「わたしはどこにあるのか」は本の邦題です(原題はWho’s in Charge)。本書は10年以上前にギフォード講義で講演した内容を本にまとめたもの。ギフォード講義とは、スコットランドで120年以上続いている伝統ある講義です。ギフォード講義を端的に説明するなら「あくまで自然科学として論じる」という点にあります。非科学的な要素は導入しないということですね。

前置きが長くなりました。さて、脳科学では各部位の機能はほぼ分かってきています。しかし「わたし」という自分を確証する機能が見当たらないのです。

どういうことでしょうか? 皆さんは美味しいものを食べるにせよ、かゆいと感じる場所をかくにせよ、不平不満を述べるにせよ、喉が渇いたときペットボトルを手にするにせよ、統一感のある「わたし」が存在していると感じているでしょう? これが最新の脳科学であっても説明ができないというのです。

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もう少し深堀していきましょう。副題として挙げているインタープリターとは、最近分かった脳の左側にあるモジュールで、無理やりにでもストーリーを作ってしまう機能のことです。お話の起承転結となるキーワードがいくつか欠けていたとしても、このインタープリターの処理によってお話は作られてしまいます。

たとえば、ギザのピラミッドは紀元前2,500年前の建造物にしてはよく出来過ぎている。だから宇宙人によって造られたのだ、と。都市伝説であり決定論です。あくまで一例ですが、ピラミッド・説明の難しい建造物・未知の生命の可能性。こういったキーワードだけでインタープリターは宇宙人が作った・宇宙人の介入があったに違ない。というストーリーを作ってしまうのです。

体調が悪いとき、現在の症状から原因を決めてしまいがちになるのもこのインタープリターの仕業です。人間関係などで嫌なことが起こったら「悪者」を作り出してしまうのもこれの仕業です。

と、このようにその答えが事実関係を正確に述べているのかどうかはさておき、お話作りが得意なのです。インタープリターはお話を作りはしますが、それでも揺るぎのない「わたし」が存在している証拠にはならないのです

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と、このように、いまの脳科学で「確固たるわたし」を調べても、その存在は明らかになっていないのです。

ただ、このままでは読書感想文で終わってしまうので、次の「後編」では非科学的になるにせよ、答えをだしてみたいと思います。

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【参考文献】

『〈わたし〉はどこにあるのか』ガザニガ脳科学講義
マイケル・S・ガザニガ 著 藤井留美 訳(紀伊国屋書店)