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便利が増えたのに忙しい理由

趣味・日記
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みなさまごきげんよう。
就労継続支援B型事業所かなうラボ利用者のmayoです。

スマートフォンが普及して、もう何年も経ちました。あの頃、多くの人は「これで生活がもっと楽になる」と思っていたはずです。

地図アプリがあれば道に迷わない。メールなら手紙より早く届く。検索すれば知りたいことはすぐに見つかる。便利なサービスが生まれるたびに、私たちは「時間に余裕ができる」と期待してきました。

ところが現実はどうでしょう。

なぜか毎日忙しいのです。

むしろ昔より忙しく感じる人も少なくありません。夜遅くまでスマートフォンを見続け、「もっと早く寝ればよかった」と後悔しながら朝を迎える。そんな経験は、多くの人に覚えがあるのではないでしょうか。

便利になったはずなのに、なぜ時間は増えないのでしょうか。

その理由は、便利さが時間を生み出す一方で、新しい仕事や期待も同時に生み出してしまうからです。

■ 便利になると、要求も増える

便利なツールが増えると、不思議なことが起こります。処理できる量が増える分、周囲から求められる量も増えるのです。

たとえばメールです。以前なら手紙を書き、投函し、数日後に返事が届くのが当たり前でした。そのゆっくりした往復には、自然な「待つ時間」がありました。

しかし現在は、送信から数分で返信を期待されることも珍しくありません。チャットアプリでは既読が付けば返事を待たれ、オンライン会議は移動時間を削減した代わりに予定を詰め込みやすくしました。

経済学には、効率が上がるほど利用量そのものが増え、結果として全体の消費は減らない、あるいは増えるという「ジェボンズのパラドックス」と呼ばれる現象があります。

便利なツールも似ています。仕事が早く終わるのではなく、「もっとできるでしょう」と期待されるようになります。効率化によって生まれた時間は、休息ではなく新しい予定で埋められてしまうのです。

■ 選択肢が増えると、疲れも増える

もう一つ見落とされがちなのが、「選ぶ」という行為そのものの負担です。

ネットショップで商品を探せば、似たような商品が何百件も並びます。レビューを読み、ランキングを見比べ、価格差を確認し、比較動画まで視聴する。気付けば30分、1時間と過ぎていることもあります。

動画配信サービスでも同じです。作品は無数にあるのに、何を見るか決められず、延々とスクロールした末に何も見ずに終わる夜があります。

心理学では、この現象は「選択のパラドックス」として知られています。選択肢が増えすぎると人は満足度が下がり、決断そのものに疲れてしまう傾向があることが、研究で分かっています。

便利になるとは、選ぶ機会が増えることでもあります。その数が多くなるほど、私たちは気付かないうちに判断力や集中力を少しずつ消耗しているのです。

■ 「すき間」が消えた日常

昔は、移動時間や待ち時間は何もしない時間でした。電車の窓を眺めたり、人の流れをぼんやり見たりしていました。一見すると無駄な時間ですが、脳にとっては情報を整理する貴重な休息でもありました。

ところが今は違います。待ち時間ができればスマートフォンを開き、SNSを見て、ニュースを読み、動画を流す。ほんの数分の空白ですら、情報で埋めようとします。

認知心理学や神経科学の研究で、分かっていることがあります。脳は何もしていない時間にも、情報を整理し、記憶を統合する働きを続けているのです。

便利なツールは、その「余白」まで埋めてしまいました。休んでいるつもりでも、脳はずっと働き続けている。これも現代人が疲れやすい理由の一つなのかもしれません。

■ それでも私たちは便利を手放せない

もちろん、便利さそのものが悪いわけではありません。

私自身、今日もスマートフォンを使い、地図アプリを開き、通知を確認し、新しいサービスを試しています。

一度手に入れた便利さは、もう生活の一部です。電子レンジを知れば鍋で温め直す機会は減りますし、カーナビに慣れれば紙の地図には戻れません。

問題は便利さではなく、その使い方なのでしょう。通知を減らす。何もしない時間を意識して残す。予定を埋めることより、空けておくことを大切にする。簡単そうに見えて、実際には難しいことばかりです。

だからこそ、忙しさをすべて自分の意志の弱さだと責める必要もありません。

便利な技術は、人間の時間を奪おうとして生まれたわけではありません。しかし、便利さが競争や期待と結び付く社会では、「時間ができた人」は休める人ではなく、「もっと働ける人」になってしまうことがあります。

忙しさは、私たち一人ひとりの問題であると同時に、便利になればなるほど効率を求め続ける社会の仕組みでもあるのです。

……などと偉そうなことを書いていたら、スマートフォンの通知が光りました。

結局、今日も私は画面を開いてしまいます。

便利さに勝つのは、やっぱり簡単ではありません。

以上、ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。
またの機会にお会いしましょう。