就労継続支援B型かなうラボ利用者aichiです。
今回は「障害者手帳を持つ120万人」についての記事が気になったのでご紹介します。
近年、障害年金の不支給が増えているという報道が注目を集め、「障がい」やそれに伴う制度への社会的な関心が高まっています。
その中で混同されがちなのが、「障害年金」「障害手帳」の違いです。
今回は、厚生労働省の調査結果をもとに、「精神障害者福祉手帳(以下、精神手帳)」の現状や等級の違い、具体的な支援内容についてわかりやすく解説していきます。
|「精神障害者保健福祉手帳」とは?|
障害手帳は、精神障がいがあることを証明する公的な手帳で、精神疾患により日常生活や就労に一定の支障があると認められていた場合に交付されます。
目的は、当事者が社会の中で安定して生活できるよう、各種支援を受けやすくすること。
精神疾患の診断名そのものが記載されるわけではなく、等級(1〜3)のみが明記されます。
|所持者はおよそ120万人、2級が半数以上|
厚生労働省の「令和4年生活のしづらさに関する調査」によると、精神手帳を持つ人は約120万人。
そのうち、およそ半数(約53,2%)が2級の所持者であることが分かっています。
・1級:日常生活に支援が必要
・2級:日常生活や社会活動に著しい制限がある
・3級:ある程度の日常生活は可能だが支援が必要な場面もある
特に2級の所持者が多い背景には、「就労ができるか配慮が必要」「一人暮らしはできてもサポート体制がないと不安定になりやすい」といったグレーゾーンである。
生活難易度に該当する方が多いことがあると考えられています。
|「障害者」の9割以上は在宅で暮らしている|
2022年の同調査では、日本の障がい者人口の約9.3%とされています。
そのうち、95.8%にあたる1,166万人が在宅生活を送っており、施設入所者はわずか4.2%(約49万人)です。
特に精神障害や身体障害のある人においては、その大多数が地域で暮らしているという現実があります。
これは一見するとポジティブな数字にも見えますが、言い換えれば「日常生活や社会参加に困難を抱えた人が、多くは家庭や地域にも埋もれている」という側面も見逃せません。
|精神手帳で受けられる支援とは?|
精神手帳を所持することで、以下のような支援を受けることができます。
・交通機関の割引(JRやバスなど)
・公共料金の割引(電気、ガス、水道)
・税制上優偶措置(所得税、住民税の控除)
・就労支援(就労移行支援、就労継続支援)
・医療費助成(自治体による)・レジャー施設の割引や入場無料これらの支援は、等級や自治体ごとの差があるため、手帳を取得した後は役所で詳細を確認する必要があります。
また、手帳を持っていることで、職場や学校の配慮や合理的配慮を申し立しやすくなり、自分の状態を正しく伝えるための「公的な証明」として活用されることもあります。
|制度の壁と、見えないハードル|
精神手帳はあくまでも「申請主義」の制度です。
つまり、困っていても本人または家族などの申請がない限り、支援の対象にはならないという側面もあります。
また、「精神障害」という言葉に対する偏見や誤解が、申請の心理的なハードルになっていることも少なくありません。
・「手帳を持ったら周囲の目が気になる」
・「会社にバレたら不利益になるのではないか」
・「まだそんな状態ではない、と自分を責めてしまう」
こうした思いから、本来受けられるはずの支援を利用できない人も多いのが現状です。
|「自分らしくいきるために」選べる制度の活用を|
※精神手帳取得は、「自分が弱い」と証明するものではありません。むしろ「自分が今ある力を最大に活かすための選択肢」として活用するべき制度です。
社会の中で自立して生きるためには、ときに「助けを求めること」も、ひとつの大きな力になります。
大切なのは、自分の状態を冷静に見つめ、必要に応じて社会資源にアクセスする勇気を持つこと。
また、周囲の私たち一人ひとりが「見えにくい困難」に気づき、配慮や声がけができる社会をつくることも求められています。
〜最後に〜
精神障害者保健福祉手帳は、まだまだ知られていない制度です。
しかし、その存在は多くの人が地域の中で安心して生活していくための”鍵”となるものです。
情報を知り、制度を活かし、支援につなげることで「生きづらさ」を少しでも減らせる社会へ━━
そんな視点で、手帳制度や障がい支援を見直してみるのも、今を生きる私たちにできる小さなアクションかもしれません。
参考記事
