みなさまごきげんよう。
就労継続支援B型事業所かなうラボ利用者のmayoです。
「10年前の自分に、今なら何を伝える?」

このお題で最初に浮かんだのは、「頑張れば大丈夫だよ」という言葉でした。けれど、すぐに打ち消しました。当時の私がいちばん聞きたくなかったのが、まさにその一言だったからです。
10年前の自分に伝えたいことを一言でまとめるなら、アドバイスではなく「途中経過のお知らせ」です。未来から届く業務報告のようなものだと思って、3つの報告にお付き合いください。
1. 未来からのアドバイスは、たぶん既読スルーされる
10年前の私は、みんなが当たり前にこなしていることに、人よりずっと多くのエネルギーを使っていました。朝起きる、予定をこなす、人に合わせる。周りは軽々とやっているように見えるのに、私にはどれも重たかったのです。
そのうえ、スマホを開けば同世代の「順調な毎日」が次々と流れてきます。進学、就職、友達との旅行。比べるつもりはなくても、気づけば画面のこちら側で、自分だけ止まっているような気分になっていました。
そんな私に未来から「こうしたほうがいいよ」と送っても、「それができたら苦労しない」と思われて、既読スルーされるのがオチでしょう。アドバイスは、できている人が言えば正論になり、できていない人が聞くと責められているように響くことがあります。
だから、指示はやめます。「こうしなさい」ではなく「こうなっているよ」。事実だけを、そっと置いてくることにしました。
2. 報告その1:「普通」の正解は、10年探しても見つかりませんでした
結論から言うと、「普通」という名前の正解は、10年探しても見つかりませんでした。
仕事はこう、結婚はこのくらいで、休日はこう過ごすもの。10年前の私は、そんな見えない基準表がどこかにあって、自分だけが読めていないのだと思い込んでいました。
ところが、いろいろな人と話してみると、「普通」を知っていそうな人ほど「自分は普通じゃないかも」と不安を抱えているのです。基準表は、誰の手元にもありませんでした。みんなが「たぶんこうだろう」という想像を、お互いに見せ合っていただけだったのです。
今の私は、フリーターをしながらB型事業所を利用しています。10年前に思い描いた「大人」の姿とは違います。それでも、お気に入りの飲み物を傍らに、利用できる場所があって、こうして心地よく文章を書いています。
私は「普通」に届かなかったのではなく、「普通」という物差しが私のサイズに合っていなかったのです。それが、10年かけてたどり着いた答えです。物差しが合わないときに、自分の体を伸ばしたり縮めたりする必要はありません。
3. 報告その2:「休むことは、止まることではなくセーブでした」
10年前の私は、休むことを「置いていかれること」だと思っていました。調子の悪い日があると、「また自分はダメだ」と何日も引きずっていました。休んだ分だけ、みんなとの差が開いていく気がして、焦ってばかりでした。
今は、少し見方が変わっています。休むことは、ゲームでいうセーブに近いものです。セーブをしない人は、一度やられると最初からやり直しになります。こまめにセーブする人のほうが、結果的に長く遊び続けられます。
体調に合わせて通える場所があること。無理をしない前提で、働き方を選べること。そうした環境のおかげで、私は「続ける」ということの意味を、少しずつ知ることができました。速く走れた日よりも、ゆっくりでも翌週にまた戻ってこられた日のほうが、あとから振り返ると価値があったと感じます。
10年前の私には、こう書き添えておきたいです。「休んだ日も、ちゃんと道の途中だよ」と。
4. 報告その3:小さな「好き」は、思ったより遠くまで連れていってくれます
最後の報告は、私自身がいちばん意外だったことです。まさかあの時の「好き」が、今の自分を助けてくれるなんて。10年前の私は、文章を書くのが好きでした。
ただそれは、誰にも見せないノートの隅っこで楽しむものでした。「こんなこと、何の役にも立たない」と、自分でも思っていたくらいです。
ところが10年後の今、その「役に立たなさそうな好き」が、コラムという形になっています。大きな夢を掲げたわけでも、才能を信じていたわけでもありません。ただ、やめなかっただけです。調子の悪い日は書かず、気が向いた日にまた書くこと。その繰り返しが、いつのまにか居場所の一つになっていました。
好きなことを「続けなきゃ」と気負うと、苦しくなります。けれど、「また戻ってきていい場所」くらいの距離感で付き合うと、意外と長く続くものです。小さな好きは、すぐには結果に見えなくても、ちゃんと自分の中に積み上がっていきます。
おしまいに
10年前の私へ。
あなたは今、うまくやれていないと思っているかもしれません。でも、私から報告できることはこうです。ちゃんと居場所を見つけて、好きなことも手放さずにいます。思っていた形とは違うけれど、悪くない毎日です。
だから、焦らなくて大丈夫です。今日のあなたに必要なのは、立派な答えよりも、ひと晩ゆっくり眠ることかもしれません。
そして、この文章を読んでくださったあなたへ。もし今、10年前の私と似た気持ちでいるなら、これは「頑張れ」というエールではなく、ただの途中経過のお知らせです。物差しが合わないと感じる日も、休んでしまった日も、一緒に「道の途中」を歩いていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
またお会いしましょう。


